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渋沢栄一の故郷を訪ねて ~血洗島編~ エピソード3 旧渋沢邸「中の家」

20年ぶりに発行された新紙幣で一万円札の顔となった渋沢栄一。
新紙幣発行によって「近代日本経済の父」と呼ばれる渋沢栄一の名と功績が全国に知れ渡ることになりました。「論語と算盤そろばん」をはじめ、大河ドラマ「青天を衝け」では日本そろばん資料館学芸員の太田敏幸先生がそろばんの演技指導をされるなど、渋沢栄一とそろばんには深いつながりがあります。
新紙幣ブームにのったにわかファンが、栄一生誕の地、埼玉県深谷市を聖地巡礼しました。


(日本そろばん資料館 小沼光浩)

《第1回・第2回の記事はこちら》
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渋沢栄一記念館から約1㎞の地に、旧渋沢邸「中の家なかんち」があります。

「なかんち」という呼び名は、渋沢一族が分家した家の位置関係からつけられたもので、「中の家」は真ん中あたりにあったからとのこと。
他にも、「東の家ひがしんち」や「前の家まえんち」などがあります。

正門をくぐると、4つの土蔵に囲まれた立派な主屋を見ることができます。
ここで栄一は生まれ、養蚕農家の息子として23歳まで過ごしました。

囲炉裏のある部屋には、「青天を衝け」で渋沢栄一役の吉沢亮さんと栄一の妻・千代役の橋本愛さんが着用された衣装が展示されていました。

栄一の父・市郎右衛門から藍に関する商売を教えてもらった場所である研究小屋。
壁には、良い藍を育てた百姓の名を番付にした「藍番付表」が展示されていました。
ドラマでは、若き栄一と喜作(高良健吾)の商才を語るエピソードの一つとして紹介されました。

この中の家では、栄一の生涯を4つの物語を通してシアターで鑑賞することができます。
血洗島での幼き仲間との思い出などを、帰郷した80代の渋沢栄一アンドロイドが、私たちに優しく語り掛けてくれます。このアンドロイドシアターは予約不要です。

主屋を出ると、風に揺れる「煮ぼうとう」ののぼり旗に引き寄せられました。
こちらの店は、渋沢家の大番頭が住んでいた家だそうです。

地元の方には「にぼうと」と呼ばれて親しまれている「煮ぼうとう」は、帰郷のたびに栄一も食したという深谷の郷土料理で、ドラマの中ではアメリカのグラント将軍(第18代大統領)夫妻にも振舞われました。
この日は厳しい真夏日でしたが、冷房の効いた涼しい店内でいただいた熱々の「にぼうと」。
本日たどってきた栄一にまつわる様々な人々を思いながらの煮ぼうとうは格別でした。

中の家も入場料は無料です。
聖地巡礼・血洗島編はこれで終了です。