和算の祖・毛利重能を祀る算学神社の「そろばん奉謝追福祭」
和算の祖として知られる毛利重能を祀る神社で行われた「そろばん奉謝追福祭」に行ってきました。
毛利重能の功績を称え、そろばんへの感謝を伝えるために、西宮市の熊野神社にある「算学神社」で長年にわたって行われている行事です。
日本にそろばん塾ができた当時を思いながら、私も一丁のそろばんを炎に投じてきました。
(日本そろばん資料館 島岡成紀)
兵庫県西宮市熊野町にある熊野神社は、若王子の宮として古くから地元の人々に親しまれています。
この熊野神社には、江戸時代の初めごろに日本で最初期のそろばん塾(和算塾)を開いた算学者・毛利勘兵衛重能を祀る「算学神社」があります。
当時、瓦林と呼ばれたこの地で生まれた毛利重能は、算術を学び、京都で「割算天下一」を号する和算塾を開きました。「割算書」と呼ばれる算学書をあらわしたことでも知られています。
毛利重能の塾では、「塵劫記」を著した吉田光由や関孝和の師匠である高原吉種など、錚々たる算学者を輩出しています。
毛利重能の功績を称え、そろばんへの感謝を伝える「そろばん奉謝追福祭」が10月6日に行われました。全国珠算教育連盟兵庫県支部によって、毎年、熊野神社で執り行われています。
神職による御祈祷のあと、長いあいだ使われて役目を終えた古いそろばんを焚き上げます。
燃え盛る炎を見つめながらそろばんへの感謝の思いを馳せる厳かな行事です。