貴重な古そろばんが展示されている京都市学校歴史博物館を訪ねました
京都は、江戸時代初期に日本で最初にそろばん塾が設立された地であると言われています。
国内でそろばんに関する資料が確認できるのは1500年代後半からですが、そこから100年以上もさかのぼる、文安子元年(1444年)の文字の書かれたそろばんが展示されているという京都市下京区の京都市学校歴史博物館を訪ねました。
(日本そろばん資料館 上野雄大)
京都市の目抜き通り、四条烏丸通から河原町方面に進み、御幸町通を南へ下ったところに「京都市学校歴史博物館」があります。
元京都市立開智小学校(明治2年)を改修整備した施設で、正門と石塀は国の登録有形文化財です。
展示室入り口は、京都最古の擬洋風建築物である旧成徳小学校の講堂玄関を城陽市高岳寺から移築したそうです。
館内には、近代的学校教育制度のさきがけとなった「番組小学校」に関する資料、教育資料、数々の美術工芸品などが展示されています。
館内1階に「吉見家旧蔵の文安算盤」が展示されています。
玉の数は天2地5で、大きさは縦約14センチ幅約54センチ、25桁のそろばんです。
底板には「文安元子年」の文字があります。
展示の解説には、「江戸時代初期(中略)に使用されていた,現存する数少ないそろばんのうちのひとつ」で、「裏面には『文安元子年』(1444年)と書かれており,それらの中でも日本最古のそろばんの可能性がある」と紹介されています。
なお、由来がはっきりと確認された日本最古とされるそろばんとして、豊臣秀吉から家臣・久野重勝に褒美として与えられた「四兵衛重勝拝領算盤」があります。「拝領算盤」についての詳しい記事はこちらです。
2階展示室では、昭和時代の教室風景も見ることができました。
常設展には、学校美術品を毎月入れ替えて展示している特別コーナーもあります。
その他にも、京都市の学校・幼稚園に伝わる学校や地域にゆかりがある芸術家たちが手がけた作品や地域の人たちから贈られた作品などを紹介した企画展も開催されており、貴重な資料を見学に訪れてみてはいかがでしょう。