そろばん用語集:E.数字を読み上げておこなう計算についての用語
珠算教育研究所 「新珠算用語集」〈初出:「珠算春秋 No.98」2014年6月刊〉を編集したものです。
なお,年代や解釈によって用語には差異があることをご了承ください。
1.読上算(よみあげざん)・読上暗算(よみあげあんざん)
読み上げられる数を聞きながらそろばん(暗算)で行う計算。主として加減算に用いる。
見取算は計算する人を主体に名づけられた用語であるが,読上(暗)算は数を読み上げる人を主体にした用語である。計算する人を主体にした場合は「聴き取り算」というが,この用語は現在あまり使われていない。
2.願いましては(ねがいましては)
読上(暗)算を開始するときに言う枕詞で,「御破算で願いましては」「あげては」など,いろいろな言い方がある。
「願いましては」とは,計算する人に「お願いします」という気持ちを込めた言葉で,江戸時代にこの言葉が生まれたという説がある。現在では,計算の心構えをさせるために読み始めに用いている。
3.・・・・・・なり
読上(暗)算において,数の読み終わりに用いる。大福帳には「金弐円参拾銭也」「金五拾円也」などと書いたので,読上算で数の読み終わりに「なり」をつけて読むのはこの名残と言われている。
4.加えて(くわえて)
読上(暗)算は加算が主体であったので,加算のときは一口読んで次の加算を読むとき「加えて」と言わないのが普通である。しかし,途中で減算が入ったときは,つぎに加算に移るときに「加えて」と言って加算であることを計算する人に知らせる。
5.引いては(ひいては)
読上(暗)算では減算の場合に「引いては」の言葉を入れる。「引いては」と言って減算に移ったときは,その後の読み上げられる数は「加えて」の言葉が入るまで減算となる。
6.・・・・・・では
読上(暗)算の読み終わりに用いる。この言葉でその読上算が終わったことを示す。
7.御名算・御明算(ごめいさん)
読上(暗)算では,計算の答が正しかった場合に用いる。単に略して「ごめい」とも言う。地方によっていろいろな言い方があるが「御名算」というのが一般的である。